友人の部屋で、妙に緊張している少年が二人。
「リュータ先輩。何でそんなに緊張してるんですか?」
「・・・ハヤトはあの恐ろしさを知らないから。」
「・・・そんなに凄いんですか?」
「・・・ああ。」
事の始まりは二時間ほど前。
リュータとハヤトは、サイバーが話題作だった映画のビデオを借りてきたと言うから、
二人でサイバーの家に遊びに行き、三人で見ることにした。
映画は話題作だったというだけあっておもしろく、かなり楽しめて。
・・・そこまではよかった。
リュータがふと「腹減ったな」と呟いたのがマズかった。
サイバーはそれを聞いて「もうすぐ昼だし、なんか作ってくるよ」と台所へ行ってしまったのだ。
あいにくサイバーの兄の、常識人のマコトは留守で。
あのサイバーがどんな昼飯を作ってくることやら分からない。
リュータとハヤトが止めようにもサイバーは聞いてくれず、
「できてからのお楽しみー」とかふざけるだけで、台所に籠もって二人を入れてくれなかった。
そして今にいたる。
「そんなにサイバー先輩は料理下手なんですか?」
今までに数回サイバーの手料理を食べたことがあるリュータと、未体験のハヤト。
緊張気味のリュータを見てハヤトも不安になっていた。
「いや、オレよりは上手だと思う。そこそこはできるだろ。」
「じゃあ、何で・・・?」
「あいつはとてつもなく味覚音痴なんだよ・・・。」
「・・・それって全然ダメなんじゃ・・・。」
「本の通りに作れば結構まともなんだけどな。けどオリジナルの料理は・・・。」
「それが、もしかして噂のサイバー鍋ですか?」
ハヤトも前にリュータやリサから聞いたことがあった。
サイバーの好物で得意料理。
「前にあれを食べたときは一日中寝込んだっけな。」
「・・・。」
ハヤトは正直に、帰りたい、と思った。
・・・が。
「待たせたな!出来たぜ!」
ガチャ、とドアの開く音と共にサイバーは意気揚々と部屋に入って来た。
恐る恐る振り向いた二人は、サイバーが手に持っているモノを見つめる。
部屋に入ってきたサイバーが持っていたのは。
「・・・オムライス?」
皿の上に乗せられた、黄色い卵に包まれたもの。
湯気が立ち温かそうなそれは、どこからどう見ても普通のオムライスで。
(よかったーー。まともだーー。)
リュータとハヤトはそれを見て胸を撫で下ろした。
「何だよお前ら。やけに嬉しそうだな。」
サイバーが不自然な二人の様子に首を傾げた。
「そ、そうか?」
「は、はい、オムライス好きなんで!」
ここでサイバー鍋とかを出されたらたまらない。
二人は不自然さをごまかして、おとなしくオムライスを食べる方を選んだ。
「じゃ、いただきまーす」
やっぱりお腹はすいていたから二人はありがたくいただくことにして、皿を受け取った。
サイバーも自分の皿を置いて座った。
「結構おいしそうだな。」
「あたりまえだ!普通のとは一味違う、サイバー様特製だからな!」
「え・・・。」
スプーンを持った手が、思わず、止まる。
その一味が、予想がつかなくて。
「特製って・・・?」
「おう!ちょこっとアレンジしてみた!」
そのちょこっとが怖いんだってば。
二人は持ち上げたスプーンをどうするべきか迷った。
「ま、アレンジとはいっても、具とか色々追加しただけなんだけどなっ!
できるだけ近未来の味に近付けてみたぜ!」
黄色いオムライスが、突然得体の知れないものになる。
二人は、スプーンを動かすことが出来なかった。



この3人が仲良かったらいいな、と思って書いたもの。
ハヤトの性格がちゃんと分かっていません。
なんかエセっぽい・・・・。
あたしはサイバーの手料理食べてみたいけどなあ。

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