ジャックはふと振り向いて言った。
「どうしてかごめは詩人になったんだ?」
そう聞かれて私は少し考えた。
どうしてだったかしら。いつそんな事を考えたのかしら。
記憶の中を駆け巡って
・・・あ、見つけた。
昔のことなんて忘れてしまいたかったのに
詩人になる前の私はまだ私の中にちゃんと残っていて。
ああ、思い出してしまった。
「私は小説家になりたかったのよ。」
私にもそういう夢を持った時期はあった
「じゃあ何でならなかったんだよ。」
でも現実は
「なれなかったの。
 私は、綺麗な物語は苦手だから。」
あの頃の私は物語を考えるのが好きだった。
・・・過去形だ。今は、考えたくても思いつかない。
私はたくさんのモノを無くしてしまったのね。
でも探そうとは、取り戻そうとは思わない。
これ以上持てないのを知っているから。
「・・・・なんかよくわかんねーや。」
ジャックはそう言って少し笑った。
本当は分かっているくせに。
言葉に出来ないだけ・・・でしょ?
別に指摘する必要も無いけれど。
「詩は好きよ、自由だから。」
私がそう言うと彼は「自由ってどのくらいだよ、」と呟いた。
私にも わからなかった。
言えるのは私が詩人である事だけ。
こんなにも、不確かだったなんて。



最初は散文箱へ行く予定だったもの。
短いけど結構気に入ってしまったからこっちへ。
ていうかあんまりジャクかごになって無い。

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