「また寝てる・・・。」
あたしはいつもの公園で、睦月君を見つけた。
暖かい日ざしの中で、気持ち良さそうに目をつぶって。
何だかその寝顔が幸せそうで、あたしは起こすのをためらった。
そのまま、自分も隣に腰をおろす。
風が睦月君の緑の髪をさらさらと揺らした。
あたしは、睦月君の髪の色が好き。
『睦月君の髪、キレイな色よね。』この前わたしがそう言ったら 『ありがと。僕もスミレの髪の色、優しい色で好きだよ。』
そう言って笑って、髪を撫でてくれた。
その時、髪のばしてて良かったな、と思ったのは睦月君には秘密。
あたしは木に寄り掛かった。
思わず、あくびが出る。
昨日は徹夜で新兵器の整備をしていた。
そのせいで、朝から眠くてふらふらする。
暖かい日ざしがさらに眠気を増幅させて。
「ちょっとだけなら・・・いいよね。」
あたしも目を閉じた。




身体が上下に揺れているのを感じて、あたしは目を開けた。
真っ先に目に入ったのは睦月君の緑の髪。
ぼんやりしながら顔を上げると、睦月君の声が聞こえた。
「目、覚めた?」
「え・・・?」
次第に意識がはっきりしてくる。
目に入ったのは、睦月君の背中。あたしの足は中に浮いていた。
あたし・・・・背負われてる?
「目が覚めた時、いつのまにか隣でスミレが寝ててびっくりしたよ。」
睦月君は笑いながらそう言った。
空を見上げると、赤かった。もう夕方だ。
「あたし・・・そんなに寝てたのね・・・。」
「うん。本当は、起こそうかとも思ったんだけど・・・。
 スミレ、この頃あんまり寝てなくて疲れてたみたいだし。
 このまま寝かせてあげようかなって。・・・ごめんね?」
「ううん。よく寝れた・・・ありがと。」
「そっか。これからは、あんまり無理しないでね。」
わたしは睦月君の言葉に頷いた。
心配、させちゃってたのか。ちょっと心が痛んだ。
「ていうか、もう起きたんだからあたし自分で歩くわよ。」
わたしがそう言うと、睦月君は優しく。
「いいよ。スミレの家まで後もう少しだし。」
「でも、」
「それに」
そこまで言って、睦月君はちょっとうつむいた。
「僕はもう少し、こうしていたいから。」
睦月君が赤くなったのが何となく分かった。
あたしもつられて赤くなって、顔を隠すように睦月君の肩に顔をうずめた。
「睦月君。」
「何?」
「・・・・ありがと。」
「・・・・うん。」


あたしももう少しこうしていたい。
夕焼けの中で、あたしは大好きな人の背中にしがみついた。






睦スミ第2段。
ほのぼの目指したのに・・・。なんか違う。
最後はもう何も言うまい。

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