本屋に入ったら、見慣れたピンクの長い髪が見えた。
「スミレ。」
声を掛けたら、慌てて本を置いて振り返った。
「む、睦月君!ど、どうしたの?」
「どうしたって・・・・何となくここに来たらスミレ見つけて、声掛けただけだけど・・・・。」
「そ、そっか・・・・・。」
何かおかしい。何かそわそわしてる。
「何の本見てたの?」
「え、別に何でも・・・・・。」
スミレが口ごもったから、僕は後ろの棚を覘いた。
「占い雑誌?」
そこは、女の子向けの占い雑誌とかおまじないの本とかのコーナーだった。
「スミレ、占いとか好きなの?」
女の子ってたいていこういうの好きみたいだけど、スミレもそうだろうか。
けどスミレは長い髪を揺らして首を振った。
「ううん。わたしはこういうの信じないことにしてる。」
なら何でそんなもの見てたの? と思ったけど聞くのはやめた。
「僕もあんまり信じない方かな。」
けど。スミレと付き合いだしてから、結構気になるんだ。
二人の相性とか、今週の恋愛運とか。
いいと嬉しいし、悪いとちょっと不安になる。
もしかして、スミレも僕と同じなのかな?
さっきの態度。雑誌には、何て書いてあったんだろう。
ちょっとだけ気になったけど、やっぱり聞くのはやめた。
代わりに、聞いた。
「スミレ。これからヒマ?」
「え?別に予定とかは無いけど・・・・。」
「じゃあ僕の家来ない?」
昨日ケーキをもらった。おいしそうだったしどうせなら二人で食べたいな。
けど。
「ええ!?・・・・・って、あ、えっと・・・。・・・い、いいよ。」
何かそわそわしてる。
態度がおかしい。
何を焦っているのかな? ちょっと気になったけど。
・・・・ま、いいか。
「じゃ、行こうか。」
「・・・・う、うん。」
スミレの手を繋ぐと、いつもよりちょっとだけ熱かった。

雑誌の、スミレの恋愛運のところには
〔恋愛運は絶好調!恋人との仲がいくとこまで一気に進展しちゃうかも☆〕
とか書いてあったのを、僕は知るわけもなく。



またラブラブものになってしまった・・・
ま、睦スミだから良いか。
この後この二人の仲は多分進展・・・しないだろう。

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