「ちょっと待ちなさいよー」
少し前を行く彼の背中を慌てて追いかける。
それでも彼が歩調を緩める気配はない。
あたしは小走りで彼の横に並ぶと同時に言った。
「もう!歩くの速いわよ!」
彼はあたしをちら、とだけ見て冷たく言い放つ。
「・・・・お前が遅いだけだ」
「しょうがないでしょ!あたしとアンタじゃこんなに身長違うんだから!」
足が長く歩く歩幅も広い彼には、小柄なあたしはとてもじゃないがついて行けない。
あたしはむくれた。
少しくらい、合わせてくれてもいいのに。
確かにあたしが勝手について来ているのだから、合わせようなんて彼は思いもしないのかもしれないけど。
でも、あたしは・・・・一緒に歩きたいのに。
あたしを気にもせず平然と歩く彼の横を小走りで進みながら、あたしは横目で彼のやたらと長いマフラーを盗み見た。
引っ張って、首を絞めてやろうかしら。
そんなことしたら、なおさら置いて行かれそうだけど。
手を伸ばしかけてやっぱりやめて、代わりに幾分高いところにある彼の顔を不満をこめた目で見上げる。
そしたら、彼の分厚い眼鏡越しに、何故か目が、合った。
思わず、あたしは立ち止まった。
彼も、半歩進んだところで立ち止まる。
それから、あたしを無表情な目でしばらく見下ろした後。
「・・・・ほら」
ぶっきらぼうに、手を差し出して。
「え?」
その手が何を意味するのか、一瞬わからなかった。
あたしは、きょとん、と差し出された手を見つめる。
が、面倒くさそうに、そしてどこか照れくさそうに、手を引っ込めようとする彼を見てやっと気づく。
あたしは慌てて彼の手を握った。
「・・・・もう遅れるなよ」
「はーい」
「・・・・ったく・・・・」
わざと遠くを見る彼の目。どうやら照れているらしい。
もう、素直じゃないんだから。
・・・あたしも、人のコト言えないけれど。
繋いだ手を軽く揺らせば、自然と笑顔がこぼれた。
「えへへ」
「何だよ」
「何でもなーい」
「・・・・変な奴」





ナカサユも好きだけど、こっちも結構いいと思う。
ナカジにちょこちょこ付きまとうメリーとか、かなり萌える!

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