びっくりした。
緑の中に、長い金髪が揺れる。
「リゼット、何してんだよ?」
近くまで走り寄って、見上げてそう訊ねると赤い眼鏡と目が合った。
「あ、リュータ。」
木の枝に危なっかしく足をかけて、下にいるオレにひらひらと手を振る。
オレはもう一度訊ねた。
「スカートでそんなとこ登って何やってんだよ?」
にゃー。
ネコの、鳴き声。
リゼットはその方向に顔を向けた。
「私のネコが、木から降りられなくなっちゃって。
今、助けようとしてるとこ。」
オレのこの位置からは、葉の隙間から黒い尻尾しか見えなかった。
リゼットは危なっかしく手をついて、もう片方の手をそっちへ伸ばして。
でも、届かない。
見ていられない。
「おい、危ないって!降りろよ。
オレが代わりにやるから。」
「大丈夫だって。こう見えても小さい頃は木登りの達人だったんだから。
それに、ほら、もう少し。」
手を、伸ばす。 緑の葉を揺らして、リゼットの腕にネコが飛び込んだ。
ネコを抱えて、得意げに笑って。
「ほらね。」
オレはその様子を見て溜め息をついた。
どうしてこいつはこんなにオレの気にかかる事ばかりするのだろう。
・・・いや、違うか。
行動が気にかかるんじゃなくて、存在自体が。
気がつくと目で追っている、長い三つ編み。
「いいから早く降りてこいよ。パンツ見えてるぞ。」
「え?ちょ、ちょっと!何見てるのよバカ!」
そうやって慌てると落ちるぞ。気をつけろって。
・・・言おうとして、やめた。
落ちて来たら受け止めてやるくらい出来る。
にゃー。
「わ、もうちょっとおとなしくしてて!」
ネコをなだめつつ、下へ降りようとして。
「・・・痛ッ!」
「どうした?」
「髪が・・・」
木の枝に、長い三つ編みが引っ掛かっていた。
外そうにも、片方の手はネコを抱えている。
リゼットは、恐る恐る片方の手を枝から離した。
引っ掛かった三つ編みをなんとか外して。
オレは危なっかしくって見ていられなかった。
「おい、リゼ・・・」
何か声をかけようとしたけど。 「きゃ!!」
リゼットの声にかき消された。
手が、宙を掴んで
三つ編みが、ゆっくりと曲線を描いて
身体が、傾く。
ほら、やっぱり落ちた。
でも、受け止めてやるくらい出来る。
落ちて来たリゼットを、なんとか腕を伸ばして受け止めた。
思ったより軽くて、ちょっと戸惑って。
にゃー。
ネコも、ちゃんと無事。
「・・・もっとまともに着地できねーの?」
「ごめん・・・」
そう言って少し俯いたけど、すぐ笑顔になった。
「ありがと、リュータ。」
「・・・どういたしまして。」
シャンプーの甘い香りに、めまいを覚える。
オレはリゼットを下ろした。
ネコはリゼットの腕からするりと抜け出して、何処かへ走っていった。
リゼットはそれを見送って、ふう、と息をついて。
オレの方に向き直った。
「助けてくれたお礼に、なんか奢ってあげる。」
「え?マジで?」
そんなモノの為に助けたんじゃ無いけどさ。
腹が減っているのも、また事実。
「ね、クレープとかどう?」
「あ、いいな。この公園のクレープ屋美味しいらしいし。」
いつものように笑いながら、2人で歩いて。
でも手には受け止めた時の柔らかい感触が残っている。
どこか、心臓の音がいつもと違う気がしてオレは焦った。

にゃー。

どこかで、ネコが鳴いたのが聞こえた。




初・リュリゼ。実は結構好きなCPです。
これは妹にお題を出してもらって書いたやつです。
確か題は『公園でドッキリ』
・・・なんか違うような・・・。
あたし的にはなんかリュータがエセっぽくて嫌。

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