「こんな寒いのに、よくそんなもの食えるな。」
白い息を空に吐き出して、リュータが言った。
私の手にはソフトクリーム。
口に広がる、冷たいミルクの甘味。
「寒いから食べるの。」
マフラーは暖かいのに喉は冷たい。
でもそのギャップは嫌いじゃ無かった。
「・・・何で。」
リュータは不思議そうに首をかしげて。
「私、食べるの遅いから。
暑い時にアイス食べると、食べ終わらないうちに溶け出すから。」
ゆっくりと白いクリームを舐めた。
やっぱりチョコ味にすれば良かったかな。
ぼんやりとそんな事を思った。
「でも、寒い時は普通あったかいモノ食べるだろ。」
そう言ってリュータは肉まんをかじる。
確かに湯気を出すそれは暖かそうで美味しそうだけど。
私は普通じゃないのだろうか。
「今日はソフトクリームの気分なの。」
私がそう言うとリュータはふーん、とだけ呟いた。
そのまま肉まんのの最期の一口を口に入れる。
私のソフトクリームは、まだ残ってる。
やっぱり私は食べるのが遅い。
「な、それ一口くれよ。」
リュータが、まだ残ってるソフトクリームを指して言った。
「別にいいよ。」
はい、と手渡すと嬉しそうに受け取って一口かじって。
「・・・結構うまいな。寒い時に食べるのも。」
そう言って笑って、もう一口かじった。
「でもオレは肉まんの方がいいな。」
「・・・・全部食べてから言うなっての。」
私はそう言ったけどリュータは笑っただけだった。
もう一つ肉まん買ってこようかな、と言って歩き出して。
後を追う私にソフトクリームももう一つ買ってやるよ、と言ってくれたけど
私はいらない、と言っておいた。
息が、白い。
私も何か暖かいもの買おうかな、と思ったけど太りそうだったからやめた。




『だから何だ』って言われればそれまでな話。
冬が終わりそうだったので慌ててUPしました。
なんか日常的っぽいのが書きたかった。それだけ。
リュータが偽者だ。
あたしは冬にソフトクリームなんて食べませんよ。

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