チャイムに急かされて慌てて教室に駆け込んだら、
いつもおはよう、と言ってくれる三つ編みの人が居なかった。
珍しい。あいつが、この時間に教室にいないなんて。
もしかしたら休みだろうか・・・昨日の休み時間、咳してたしな。
そんなことを考えつつ戸口につっ立っていたら後ろからぱたぱたと足音が聞こえた。
振り返ると、慌てて走ってくる長い金髪の女の子。
緩いウェーブのかかった髪がふわふわとなびいて、走りながらずり落ちてくる赤い眼鏡を押さえる。
「おはよう!」息があがっていた。
「おはよう。」オレも同じ言葉を返した。
「先生、まだ?」
「うん、セーフ。」
「よかったー。」
ふぅ、と一息ついた仕草で額にかかっていた長い髪が緩い曲線を描いて落ちる。
「珍しいな、リゼットが遅刻なんて。寝坊?」
「誰のせいだと思ってるの。」
ああそうだった昨日の夜オレは確かにリゼットにメールを送った、
相変わらずリゼットは真面目に返事をくれて、
しかもやたらと話が盛り上がったから最後のメールを送った時にはもう今日になっていた。
「ごめんって。」
「別にいいよ。楽しかったし。」
二人で、自分の席に移動して。オレはリゼットの前に座った。
あともう少しで席替えがある。
リゼットの前に座っていられるのも、あと少し。
「今日は三つ編みじゃないんだな。」
「編んでる暇なかったから。」
「さっきは、一瞬、誰かと思った。」
「やっぱり?髪下ろして学校来るのは初めてだよ。」
でもやっぱうっとおしいや。
そう言ってカバンのポケットからゴムとくしを取り出した。
オレの見ている前で慣れた様子で髪を編み始める。
ふわふわした金髪が見慣れた束に変わっていくのをぼんやり見ていた。
宿題をやってないから今のうちにやっておくべきだけど、なんだかする気になれない。
リゼットの白い指が複雑に動く。
「よくそんな複雑な事できるな。」
「慣れてますから。」
すぐにに三つ編みが一本出来上がる。
オレはたった今できたばかりのそれを軽く摘んで言った。
「咳。もう大丈夫なのか?」
「え?」リゼットは手を止めて首を傾げる。
「平気・・・だけど。」
「ならいいや。」
訝しげな表情のリゼットを置いてオレは前に向き直った。
「おーい席つけ、ホームルーム始めるぞー。」
ちょうどよく入ってきた担任が連絡を始める。
今日の昼休みに図書委員会。
3限目は先生が休みで自習。
俺はそれを右から左に聞き流した。
帰りのホームルームで席替え。
・・・・今日でリゼットの前に座って授業を受けるのも、今日で終わりか。
ため息をついたオレとは対照的に、最前列の席でやたらとサイバーが喜んでいるのが見えた。
後ろのリゼットの表情は見えるわけがない。
ふと
リゼットはオレの後ろ姿をどんな風に見ていたのだろう、
そして今はどんな風に見ているのだろう。
そんなことを、思った。




ビバ学生。なんか学生っぽい話が書きたかっただけ。
この二人同じクラスだったらいいなーおもしろいなー。
なんか日常的っぽいのが書きたかった。再び。
下書きにはヤバいセリフが色々入ってたのは秘密。

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