ジャックは一人廃墟に座り込んでいた。
本当はこんなことしている暇はないのだが、
何だか気が乗らず、動く気になれなかった。
あれから、ジャックはずっとこんな感じだった。
黒い髪が、白い花が、彼女の声が、脳裏にちらつく。
「あいつ、どうしてるかな・・・・。」
できることなら再び会いたかったけど。
ジャックは異世界に渡る手段なんか持っていなくて。
そんなことができるのは、あのサングラスの・・・・
「よ!ジャック、久しぶりだな!」
あの不敵サングラスはいきなり目の前に現れた。
「MZD・・・・。」
「何だよそんなやる気ない顔して。」
「別に。」
ふぅ、とため息をついて。
その様子を見てMZDは笑った。
「ホント、お前ら似たもの同士だな。」
「何の話だ?」
MZDはそれには答えず代わりに封筒を差し出した。
「受け取れよ。」
ジャックはまじまじとそのピンクの封筒を見つめた。
赤いハートのシールで可愛らしく封がしてある。
見慣れないものに、ジャックは首をかしげた。
「何だこれ?」
「見ての通りラブレター。」
ラブレター。好きな人に、愛を伝える手紙。
ジャックは顔をしかめた。
「俺、悪いけど男に興味は」
「たわけ。オレからなわけねーだろ!!」
MZDはジャックの頭にチョップをお見舞いした。
「何すんだよ!」
そう言って頭をさするジャックに手紙を押し付けて。
「よし、確かに渡したからな。
じゃあ、オレもう行くから。ここ空気悪いし。」
MZDはそう言ってさっさと消えてしまった。
後には、呆然とするジャックとピンクの手紙。
ジャックは手紙を拾い上げて。
首を、かしげた。



かごめは、ポップンカフェで2杯目のココアを飲んでいた。
さっきのことが心残りでしょうがなくて、最初と同じようにため息一つ。
「私・・・まだ便せんにも封筒にも私の名前書いてなかったのに・・・・。」
それを伝えて待ってと言おうとしたのに、その前にMZDは行ってしまった。
差出人の名の無い手紙を持って。
でも。
「彼なら、私だとわかってくれるかもしれない・・・。」
何故かそう確信して。
かごめは空を見上げた。



「この手紙、差出人書いてねーじゃんかよ・・・。」
ジャックは封筒を裏表確かめて呟いた。
結局誰からなのか分からない。
けど、何だか凄く大切な、待ち望んでいたものに思えて。

ジャックは封筒を、開けた。






ふう。長い話は疲れる・・・。
これ、最初は思いっきりギャグにする予定でした。
だからその名残りがちらほら。
まあ、こういうありきたりな話もありかなーと。
手紙の内容は秘密です。


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送