しばらくして。
「できたわ・・・。」
かごめはペンを置いて息をついた。
隣のテーブルを拭いていたさなえが、かごめの言葉を聞いて振り向いた。
「できた?書くの早いね、かごめちゃん。」
かごめが書き始めてからまだ数分しかたっていない。
かごめの前には、綺麗な字で綴られた手紙が一枚。
「それじゃあ、後は封をして出せば終わりだね。」
便せんをたたんで、薄いピンクの封筒に入れて。
そこにちょうどリエが来た。
「あ、かごめちゃん書き終わったんだ。」
少し頬を染めて頷くかごめに、リエは笑いかけた。
「それじゃ、あとはこの切手とシールを貼って完成ね!」
そう言って差し出されたのは。
80円切手と、少女漫画によくあるラブレターにつきものの、赤いハートのシール。
「リエちゃん・・・そんなベタなシールどこで買ったの・・・?」
しかし漫画などあまり読んだことのないかごめは
別に赤いハートのシールを見ても何も思わず、普通に貼った。
出来上がった手紙は、あまりにも少女趣味だった。
が、誰もつっこまない。
「さ、後は住所書いて・・・。」
そこで、かごめは手を止めた。
「私・・・・・あの人の住所、知らないわ・・・。」
「え?」
唐突に問題に直面した。
「どこから来たとか、どこ出身とか、話さなかった?」
リエがそう尋ねると、かごめはしばらく考えてから言った。
「確か、異世界から来たって言ってたわ。」
「そっか・・・・って。えーーーー!?」
「異世界って、そんな所からもポップンパーティーに参加する人いるんだね!」
「えっと、リエちゃん、そこじゃなくて・・・。」
「MZD、よくそんな所までスカウトしに行くなあ。」
「・・・あの人は、神だから・・・ホント、何でもありよね。」
感心しているリエに、かごめも同意して呟いた。 「異世界から来た人かあ・・・さなえちゃん、今回そんな人来てたっけ?」
リエの言葉に、さなえもつられて考えた。
「うーん・・・あ、あのガスマスクの人とか・・・・  ・・・・て、そうじゃなくて。
住所が分からなかったら手紙出せないわ。」
さなえはやっとズレかけた話題を元に戻した。
今、かごめの思い人の正解が出たのだが、かごめはあえて黙っていた。
「そっか、異世界って、住所どういう風に書けば届くのかな?」
リエは首をひねった。
「まず、日本の郵便局じゃ無理よね。」
さなえもどうすれば届くか考えを巡らせた。
かごめは、俯いて書いたばかりの手紙に視線を落として。
・・・と。ひょい、と手が伸びて手紙を摘まみ上げた。
驚いて慌ててかごめは顔をあげた。
・・・そこに、いたのは。お馴染み
「MZD!」
3人の声が重なった。
「よ!噂をすれば神ってやつ?」
MZDは片手をあげてニ、と笑った。
相変わらずこの人は神出鬼没だ。神だから当たり前か。
MZDは手にしたかごめの手紙を見た。
かごめは少し目を伏せる。
「・・・これ、ジャックあて、だろ?」
MZDの言葉にかごめは控え目に頷いた。
さなえはやっぱり、と呟き、リエは意外だったのかただ吃驚している。
「お前らこの前のパーティーでかなり仲良くなってたもんなー?」
かごめはMZDの言葉には答えず、話を続けた。
「・・・手紙、書いたのはいいのだけれど、異世界への届け方が分からなくて。」
「んで、困ってたと。」
「・・・・ええ。」
MZDは笑って言った。
「それは俺、神様の出番でしょ。俺が届けてやるよ。」
その言葉にかごめは顔をあげた。
「本当に・・・?」
「神が迷える小羊に嘘ついてどーすんだよ。
ちょうど今仕事片付いたとこだし、これくらい何でもないって。」
MZDはそう言ってまかせなさい、と胸を叩いたが、
さなえとリエには、おもしろがっているのがなんとなくわかった。
「それじゃあ・・・お願いするわ。」
かごめはしばらく考えた後そう答えた。
「おう。まかせとけって。」
そう言って笑ったMZDにかごめは何か言おうとしたが、
その前にMZDは霧のように掻き消えてしまった。
「もう行っちゃった・・・・。」
あとには呆然とするリエとさなえと。
一人俯くかごめが居た。






色々付け加えてたらなんか長くなった。
ボケをリエちゃんにするかさなえちゃんにするかかなり迷ったけど、
さなえちゃんの方が大人っぽくてしっかりしている気がしたからボケはリエちゃんに。
MZDはホント便利です。
神だから何でもありだし。本当に便利。

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